LOST

嘘偽りのない君へ 嘘偽りのない愛を捧ぐ どうか、届け、愛の詩 【lost Xmas.〜礫ver〜】 「シュン」 「ん?」 「シュン」 「何です?」 呼んだだけといったら怒られそうで、 何とか理由を考えてみたけれど、どうにも思いつかない。 シュンは小首をかしげ、「変なミヤ」と笑ってくれた。 それだけで、愛しさが湧き上がる。 「シュン…」 「ぅん?」 「ずっと、傍にいてください…」 言って、シュンを抱きしめる。 シュンはゆっくりと腕を持ち上げ、 ポンポンと背中を軽く叩く。 告白をして、 周りの目を盗んでは、愛を紡いだ。 初めこそ、「何言ってるんだ?」みたいな変な顔をされたが、 俺がふざけている訳じゃないと悟ると、 真剣に俺のことを考えてくれるようになった。 学校では影ながらギン…いや、誉に負けないくらい、 取り巻きをタラシ込んできた俺だけど、 シュンへの思いを自覚してからは激減した。 だってねぇ? 溜め込みすぎると理性なんてもたないから。 なんせ、似非女神ですから。 「ミヤ、何か子供みたいですね」 「シュンの前でだけです」 「……恥ずかしいヤツ」 「それも、シュンにだけです」 何度でも、言ってあげる。 俺から抜け出せなくなれば良い。 そう願いを込めながら。 「あ…」 不意に、何かを思い出したような声をシュンが上げた。 俺はシュンの額に自分の額をくっつけて、 その状態のままで「ん?」と聞いた。 瞬間、シュンは眩しいほどの笑み浮かべて言った。 「メリークリスマス、礫。」 初めて呼ばれた族名じゃない俺の名前。 と同時に、今日がクリスマスだった事を思い出す。 「メリークリスマス、春日。」 こんな些細な事が嬉しい。 初めてなんだ、こんな気持ち。 だからお願い。 ずっと、ずっと傍にいて。 ずっとずっと、君に愛を捧げるから。 「春日、好きですよ。」 何度でも、愛を詠うから。 -END-